今、大人が集まる街 ”兜町”とは<br>HUMAN NATUREから紐解くナチュラルワインの魅力

今、大人が集まる街 ”兜町”とは
HUMAN NATUREから紐解くナチュラルワインの魅力

日本でも有数のオフィス街、日本橋。

ビジネスシーンとしての印象が強いこの街だが、立ち並ぶビルの先、オフィス街の喧騒を抜けると”兜町”というエリアが姿を現す。

それまでの景観とは別世界のような街並みが広がり、そこには感性を揺さぶられるようなセンスのお店が軒を連ねている。その内容も北欧クラフトビールの専門店”Omnipollos Tokyo(オムニポロストウキョウ)”、目黒の人気店”kabi(カビ)”の姉妹店で無国籍料理を提供している”CAVEMAN(ケーブマン)”、と気になるものばかりだ。

ABOUT “HUMAN NATURE”

ここ兜町にはナチュラルワインを専門に取り扱う”HUMAN NATURE(ヒューマンネイチャー)”というお店がある。 感度の高いファッション・カルチャー好きの中で徐々に大きなムーブメントとなっているナチュラルワインだが、同店に集まる人、空間を見ていると一過性のトレンドとしてではない、魅力に引き寄せられているようにも見える。

 

店主高橋心一の話からナチュラルワイン、そしてHUMAN NATUREの魅力を紐解いていく。

ナチュラルワインとの出会い

———ナチュラルワインに興味を持ったきっかけを教えてください

 

高橋 : 「高校を卒業してすぐニュージーランドで8年くらい住んでたんですが、最後の2年間、イタリア人の友達と仲良くなって一緒に住んでいました。それぞれが国に帰ってからも、イタリアには年に1度くらい遊びに行くようになって、ナチュラルワインを飲みはじめました。それまでは特にワインに興味無かったんですが、とても美味しくて。」

カルチャーとしてのナチュラルワイン

高橋 : 「イタリアに行くようになってから、住みたくなって2013年から2014年にトリノに1年住んでみたんです。友達はデザイナーだったからその少し前くらいからナチュラルワインのエチケットとかディストリビューターのカタログとかデザインし始めてて、僕も学生しながらディストリビューターでインターンさせてもらってワイナリーとかレストランの人達とより頻繁に会うようになって、ワインのことを少しずつ知った感じですね。

 

ナチュラルワインという名のもとに、生産者やディストリビューター、レストランの人たちがみんな友達で一つのコミュニティになってるのが面白いと思いました。そのコミュニティの雰囲気が良いなと思いました。」

高橋 : 「マーケティングとかしないし、口コミだけで広がって、海外にも沢山のファンがいたりする。美味しいってだけじゃなくて強い思想があるし、

それでビジネスが成立しているのが凄いなと感じました。 僕はもともとパンクが好きでその精神が好きだから、似てるな、と思いました。」

———なんとなくワインって敷居が高いイメージがありますが、ナチュラルワインは気兼ねなく楽しめそうですね。

 

「自分もイタリアで、”あ、ワインって日常的なもので、とてもカジュアルに楽しんでいるんだ”って初めて知りました。とても社交的な飲みものです。」

 

HUMAN NATURE の軌跡

———何故HUMAN NATUREという名前に?

 

高橋 : 「知り合いのデザイナーに店名の相談をしたら、”ネオヒューマニズム”と”アートネイチャー”を提案されたんですが、その時点ではピンとこなくて。双方を掛け合わせるような形で””HUMAN NATURE”が生まれました。”そのままのその人”を表す言葉で、僕自身もナチュラルでありたいと思ってるからこの名前が良いなと思いました。」

———今のスタイルに行き着いた経緯を教えてください

 

高橋 : 「ニュージーランドに住んでたときにバーで働いてたんですが、あのような社交場が好きで、今のHUMAN NATUREを作る原体験になっています。内装はバンドのtoe(トー)の山嵜廣和さんにお任せって感じでやってもらいました。HUMAN NATUREにはお店のスタッフ以外にも何人か仲間がいて、なんとなく感性や感覚が近い人たちが集まっているから、そこは信頼してお願いしています。」

——店内の音楽にも拘りがありますよね

 

「もともと音楽が好きなので自分が好きなものをかけてるだけです。ワインの梱包とか事務作業も多いので、結構聴く時間もありますから。」

 

——最後に、これからの展望について教えてください

 

高橋 : 「HUMAN NATUREはワインショップっていうか、展望としては良い仲間と面白いことをしていきたいと思っています。ナチュラルワインは表面的な飲み物ってだけでなく、その思想とカルチャーがとても重要だと思っているので、そういった物が根幹にあればなんでも良いかなと思います。」

高橋 : 「個人的にはいつか知的障害者の福祉施設を作りたいと思っています。これも最初に話したイタリア人の友達が自分のデザイン事務所を福祉施設として運営しているlaboratorio zanzaraという場所をやっていて、そこは街のど真ん中にあって、施設だけが彼らのお世話をするのではなく、その地域全体が彼らに気を遣って運営されています。人によって得意、不得意はあるけど、その人の良さを引出したり、デザイナーのディレクションで複数の人が関わっていいもの作りをしています。

今、balやsomewhere in tokyoにHUMAN NATUREのプロダクトを作ってもらったりしてるけど、周りに面白い人たちがいるから、一緒に面白い福祉施設ができたら良いなって思ってます。」

オーナー : 高橋 心一 氏

 

インタビューに答える高橋さんは飄々としていて、どこまでも自然体だ。

美味しい料理やお酒。これ自体は他のお店でも良く見かけるものの、こうもオーナーの価値観やセンスが根付き、魅力を放つ店は少ないだろう。

陳列されたワイン、流れている音楽、空間、集まっている仲間たち。高橋さんが音楽やナチュラルワインとの出会いを経て、体験したカルチャーや思想がお店のあらゆる要素に投影され、不思議な引力を生んでいる。

まずは肩肘張らずに訪問し、ここにしかない空気感を是非体験してみてほしい。

店内は角打ちスタイルなので、気に入ったワインがあったらその場で買って帰ることもできる。家でゆっくり飲むもよし、大切な人に贈るもよし、週末のキャンプに持っていくもよし。是非それぞれのスタイルで楽しんでみては。

 

 

■Human Nature

住所:東京都中央区日本橋兜町9-5

営業時間:月〜金 15:00〜23:00、土 13:00〜21:00、日 13:00〜18:00

定休日:なし

TEL:03-6434-0535

https://humannature.jp

Instagram:@human_natureeeee